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ユニークな撮影体験を得られるRICOH GXRとMOUNT A12というカメラ
唯一無二のユニット交換式デジタルカメラ RICOH GXR
APS-Cセンサーに35mm相当の単焦点レンズを組み合わせたFUJIFILMのX100シリーズが入手困難になって久しい。RICOHのGR IIIシリーズもまた流通が途絶え、新品のみならずコンパクトなボディに画質を犠牲にしないそれなりの大きさのセンサーとレンズというパッケージのカメラは、中古も含めて激しい争奪戦が繰り広げられている。
APS-Cフォーマットのミラーレスカメラに単焦点レンズを組み合わせれば似たようなものはできるとはいえ、なんとなくそうじゃないという気持ちが拭えない。いわゆる「コンパクトカメラ」と言えるサイズ感であってほしい。そんな時に思い出したのがRICOHのGXRだ。
GXRはシャッターボタン、グリップ、背面液晶といった操作と電源部を持ったボディ部に、イメージセンサーとレンズをもったユニットを装着することでさまざまなスタイルの撮影を可能にする、コンパクトシステムカメラだ。レンズ交換ではなく、センサーを含めたユニットごと交換してしまうことで、小さいサイズの中で高倍率のズームから、キリッとシャープな単焦点、さらにはLeica Mマウントのレンズ交換式カメラにまでスタイルを切りかえてしまうのだ。
これらのユニットの中で、APS-Cセンサーを搭載したユニットがA12シリーズで、A12 50mm F2.5 MACRO、A12 28mm F2.5、MOUNT A12の3種類がある。50mm、28mmはいずれもGRの銘を冠したシャープなレンズを搭載した魅力的なユニットだが、注目はLeiaca Mマウントを搭載したMOUNT A12ユニット。
このユニットによりGXRは、GRより一回り大きい程度のボディのMマウントミラーレスとなるわけだ。そして、MマウントにはLeicaをはじめとして、ZeissやVoightlanderなどからさまざまなレンズが選べるし、コンパクトなボディにぴったりのコンパクトなレンズも選び放題なのだ。これが面白くないわけがない。
しかし発売は2009年12月18日、カメラユニットも含めてとっくにディスコンとなって久しい。ダメもとでPRSP(リコー・ペンタックスのプロサポート)に在庫を確認してもらったが、貸出機も含めて残っていないらしい。気長に探そうかと思っていたら、ちょうどいいタイミングで状態の良い出物に出会い、ボディとMOUNT A12合わせて6万円ほどで入手できた。
MOUNT A12 インプレッション
GXRをひととおり動作のチェックや基本的な設定を済ませ、VoightlanderのNOKTON Classic 40mm F1.4 MC VMというレンズを組み合わせて我が家の猫で試し撮りをしてみた。
もともと絞り開放付近はピントが読みにくいレンズの上、GXRの背面液晶もそれほど高精細なわけではないのでピント合わせはなかなか苦労するが、撮影された写真の満足度はかなり高い。APS-Cセンサーと言えど10年以上前のカメラだが、1230万画素と欲張らない画素数が功を奏しているのかスッキリとした仕上がりだ。
画質に満足できることが分かったので、外でもフィーリングを確認してみようと、公園を撮り歩いてみた。撮り始めてすぐに一筋縄ではいかないカメラだということが分かった。
Mマウントのレンズはフルマニュアルでそれだけでも手が忙しいのに、ボディが小さくピントの確認や露出の調整でいくつかのボタンを操作するのが難しいのだ。速射性に優れるというイメージのコンパクトボディなのに、1枚の写真を撮るためにはかなりの手順が必要になる。フィーリングとしてはSuper Ikonta(90年前の蛇腹カメラ)で撮影している感覚に近い。
見た目は現代的なコンパクトカメラ然としているのに、1枚の写真を撮るためには作法がいるという倒錯した操作感。人によってはまったく受け入れがたいフィーリングと思えるが、「これはそういうものなのだ」と割切ってしまえば、レンズのキャラクターと紡ぎ出される「濃い」画の虜になるだろう。
特にNOKTON Classic 40mm F1.4との組み合わせは、アスペクト比が4:3ということや、小さなレンズで絞りを操作し、ゆっくりとピントを確認してからシャッターを切るという作法が中判カメラでの撮影体験を彷彿とさせる。
軽快なスナップシューターとは決して呼べないが、極めてユニークな撮影体験ができるカメラなのは間違いないだろう。