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CP+2025 初日レポート
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2025年2月27日。いよいよ始まったカメラと写真映像のワールドプレミアショーCP+2025。ありがたいことに今年も招待いただきビジネスタイムである初日の午前中から参加することができたので、気になったブースや製品をレポートしていきたいと思う。
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一般入場口から最も奥よりの大ブースは今年もCANON(VIP入場口の真正面という位置)。ここではEOS R1とR5 markIIのアクティブ優先機能を体験したのだが、詳細は後に譲るとして左手を見ると……
SIGMAブース
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CP+開催直前の発表会でVIのリニューアルとアルミ削り出しユニボディのBFで話題をさらったSIGMAブース。一般入場が始まる前の11時時点ですでにこの盛況ぶりだ。もちろんここにいる人々の視線の先にあるのはBFだ。
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ご多分にもれず私もBFの待機列に吸い込まれる。
順番が来て目の前にあるBFを両手で持ったファーストインプレッションは意外なほどの存在感のなさだった。エッジの立ったソリッドなボディに見えるが、ボディ下部がそぎ落とされていることで包むように持つとエッジはあまり意識に入らないのだ。
次に操作を確かめようと電源ボタンで起動したらやってきたのは困惑だった。ライブビューモニタに必要十分な設定情報が表示されているのは分かるのだが、説明を受けるまで何がどう作用するのか、一般的なカメラと作法がまるで違って分からないのだ。とはいえ、操作方法が難解なわけではなく、作法が飲み込めれば合理的だ。
面白いことポイントはライブビュー上に撮影設定が表示されていない場合でも、常に裏ではメニューが走っていてダイアルとボタンの操作は生きている(ステータスモニターにはその時操作している設定項目の値は表示される)。
ブースを離れてしばらくは不思議なカメラだなと印象が定まらなかったのだが、徐々にBFが目指しているのはカメラの透明化なのでは?という気がしてきた。ユニボディというのはボタンや写真機という意識を払拭するためのノイズを減らす手段で、将来的にはインゴットから削り出す必要はないのかもしれない。
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BFについて語りたいことはまだあるが、続きはCANONブースと合わせてみたいと思う。SIGMAブースでインパクトを受けたのはCONTEMPORARY 16-300mm F3.5-6.7 DC OSだ。いわゆる便利な高倍率ズーム(APS-C用)で、昨今のこの手のレンズとして画質も十分でコンパクトなのは言うまでもなく+αの要素というのが重要なのだが……なんとこのレンズ、70mmでハーフマクロ(35mm換算105mm相当で0.75倍、開放F値5.6)なのだ。おまけに簡易ながら防塵防滴でアウトドアから子どもの運動会まで、これ一本でほとんどこなせてしまうのだ。正直これを試した時に「ヤバいレンズだ……」しか感想が出ないほどのユーティリティレンズで、ブースの作りからプロダクトまでSIGMAブースには驚き通しで明らかにSIGMAは立つステージを変えたという印象を受けた。
CANONブース
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続いてはCANONブースだ。こちらでは例年通り先進技術のデモや望遠レンズの体験コーナー、プリンターのデモやCANONが開催しているGRAPHGATEの紹介などが展開されているが、SIGMAとは違った意味で衝撃を受けたのがEOS R1とR5 markIIのアクション優先機能のデモだった。
ブース中央のバスケットボールのデモプレイを各機種で1/1000 F2.8 ISO AUTOで撮影するのだが、ピント合わせの概念の消失を味わうことになった。というのも、どちらの機種もファインダーを覗き、キャプチャーしたい選手をフレーミングしシャッターボタンに触れるともうピントが合っているのだ。半押しを意識する間もなく既にあっている感覚。もはや撮影者はフレーミングのみを意識すれば欲しいイメージが得られているという状態でSIGMA BFとは別の極北に辿り着いたようだ。
面白いのはSIGMAがBFでカメラの透明化で別のステージを提案したように、CANONはフォーカスが外れるという概念を消失させつつGRAPHGATEで写真家の意義を問い、それぞれがユーザーに「撮る」と「撮れ」をどうする?投げかけているように感じた。
HAKUBAブース
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HAKUBAブースでは友人でもある瀬尾氏が監修したカメラバッグ「D-Guard」を本人が案内しているというので、挨拶を兼ねて製品版となったD-Guardを見に行ってみた。以前一緒に撮影したときに見たプロトタイプから各部が洗練され、より使い勝手が良くなった製品版は車移動を中心にした撮影行には非常に魅力的なバッグに仕上がっていた。
ペリカンのようなハードケースは保護の安心がある代わりに持ち歩きにくい。運転と撮影をキビキビ切り替えながらカメラを扱うという用途にはピンポイントで突き刺さるプロダクトだろう。
CP+期間中は割引があるそうなので、気になる方は下記サイトをチェックしてみてほしい。
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Synologyブース
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ブース写真を撮り損ねてしまったが、Synologyブースでは従来のNAS製品からカジュアルなバックアッププロダクトであるBeeDriveやBeeStationなど、カメラユーザーにとって撮影機と同様に重要な要素であるデータストレージの展示(とその解説)を見ることができる。同社のストレージはハードウェアのスペックのみならずユーザーフレンドリーなソフトウェアやサポートドキュメントの充実が突出しており、私も数年にわたり愛用している。
上掲のスクリーンショットはUSB接続のSSD「BeeDrive」のソフトウェアの最新版で追加された機能だ。SDやCFexpressといったカードメディアはもちろん、SSDなどの外部ドライブをPC/Macに繋いだら即座にバックアップをしてくれる機能とiCloudをバックアップしてくれる機能(いずれもベータ版)だ。試してみるととても便利で、出張やロケ先のホテルでバックアップしたいといった状況でカードを挿せばバックアップは日付別フォルダに即完了というのは負担軽減にも繋がるしありがたい。
会期中、フォトグラファーによる運用例のステージも設定されているので、撮影データ管理が苦手な人ほどチェックして欲しい。
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その他、気になったブース
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TAMRONブースは去年のねぷたに続き今年もゴジラで目を引くセットが組まれていた。RFマウント向けの広角レンズからZやEマウント向けの望遠レンズなど大きなセットを存分に使って試せるようになっていて、単純に楽しんで撮影することができる。
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もうひとつ気になったブースが木製のフレームを展示していたDENTOだ。フレームの仕上がりの良さに加えて同郷である広島のメーカーというのが気になってフレームを見せてもらった。
写真用のフレームとしてはそれこそ1,000円台からさまざまなクオリティのものが販売されている中、ポストカードサイズのフレームが約1万円からと決してリーズナブルとは言えないが、仕上げは美しく、懸架方法もよく考えられていたりと魅力的な製品になっている。
個人的な予測として、カメラがデバイスとしての極北へ達した今、プリントや展示へ興味の対象が移っていく流れも増えていくと考えているので、こういったカテゴリーのプロダクトも盛り上がっていって欲しい。
以上、ざっとCP+ 2025の初日を見て回ったインプレッションを綴ってみたが、2日目以降会場に向かう方の参考になればうれしい。