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山とカメラの悩みを決着させるT3ECのThe Rib Rig #001─インプレッション
複雑な条件を突きつけてくる山とカメラバッグの関係
山やアウトドアフィールドは素晴らしい風景を全身で感覚し、カメラを通じて自分にとってかけがえのない作品を創り出す特別な体験だ。そんなフィールドでレンズを交換しながら撮影をする際、頭を悩ませるのがどんなカメラバッグなら撮影と移動を快適にこなせるのかという問題だ。
山に限らず屋外でカメラを持ち運ぶときにはカメラの保護や利便性の点から、カメラバッグや別体式のカメラケースをバッグと組み合わせて使うのが一般的だ。デジタルカメラ市場は縮小傾向にあるとはいえ、SNSやクラウドファンディングの普及が進んだからか以前よりもカメラバッグのバリエーションは増えているように感じる。
しかし、登山とカメラが組み合わさると途端に選択の難易度が高くなる。なぜなら、カメラ・レンズはもちろんとして、数時間(時には数日間)に渡って衣食住を背負って歩かなくてはならず、人間には背負える限度というものがあるからだ。つまり、荷物の中での取捨選択が都市部でのカメラバッグ選びに較べ飛躍的にシビアになる。
長時間にわたり歩かなければ撮影ポイントに辿り着かず、そうそう何度も通えるものでもない。ましてや紅葉など天候の関係でシーズンに一度しかチャンスが訪れない場合も珍しくない。そうなると一度の山行でできる限りのバリエーションを撮影したいと思うのが人情だろう。当然、交換レンズや三脚など持ち歩く機材は増えるが、先述の通り背負える限度があるわけだ。
さらに選択を難しくする要因として、山や森、あるいは沢のようなフィールドでは足下が不安定なことも多く、落ち着いてレンズ交換ができないという場合もある。つまり機材へのアクセスもできる限りイージーでなければならない。
カメラと相性の良い山岳用バックパックとカメラケースによる運用
複雑な条件が多くのフォトグラファーを悩ませ、世界のあちこちからこれぞと思われるバッグやケースを取り寄せて試してはより良いギアをまた探すという迷宮に誘い込む。私自身、例に漏れずいくつもバックパックとカメラケースを試すハメになったが、数年かけてようやくいくつかのパターンに行き着いた。それが下の表のような組み合わせだ。
バックパック | 交換レンズ等の収納ユニット | 歩行時のカメラの保持ギア |
---|---|---|
Mammut Trion Pro 35+ | KATA ショルダーケース | Peak Design Capture |
Millet SAAS FEE 30+5 | Peak Design Camera Cube M | Shimoda トップローダー |
Deuter Air Contact 55+10 | Peak Design Camera Cube M | Shimoda トップローダー |
バックパックタイプのカメラバッグにも山岳向けの製品はあるが、山に着いたらカメラ本体は常にバッグ外で手に持つという私のスタイルには合わないので、バックパックは基本的に登山用の製品から選んでいる。その上で、バックパックはトップ以外にバック(背中側)またはフロントやサイドからのアクセスが可能であること、交換用のレンズやカメラアクセサリーは仕切りのあるケースでバックパックに収納すること、カメラは身体の前面で手から離して固定できることという3点を軸にして、表の様にさまざまなものを組み合わせて使っている。
この組み合わせである程度は満足はしていたが、バックパックやケースがすでにディスコンになっているモデルだったりすることもあり、入れ換える先をどうするかという悩みが出てきた。そんな矢先に出会ったのが以前の記事でも紹介したThe 3rd Eye ChakraのThe Back Pack #001 V2というバックパックだ。
60Lの容量を持ちながらDeiterのAir Contact 55+10の半分ほどの軽量さと大型のバックアクセスとウェストベルトのポケットを備え、購入以来すっかり日帰りからテント泊までこれで賄うようになった。このバックパックはシンプルながらとにかく使い勝手が良く、山のみならず宿泊をともなう出張撮影のときにも活躍してくれている。
The back Pack #001 V2はアウトドアフィールドで撮影するバックパックとして、とことん使いやすさを追求したデザインで、非常に満足度の高いバックパックではあるものの、やはりレンズを交換する際はバッグを降ろす必要があり、もう一歩のオプションが欲しい。レンズ交換もバックパックを下ろさずにやりたいのだ。
しかし、The 3rd Eye Chakraにはそれを叶えるオプションギアが用意されている。それがThe Rib Rig #001だ。
モアベターを叶えるチェストリグ「The Rib Rig #001」
The Rib Rig #001はハーネスで大きめのポーチを左右の脇腹に固定するシステムで同社のバックパックとの組み合わせを前提に設計されている。The 3rd Eye Chakraの製品ページの説明が簡潔かつ正確なので以下に引用する。
行動中、素早く出し入れしたいギアを収納するためのチェストリグを The 3rd Eye Chakra Field Bag Works が再構築して生まれた機能的なギアキャリーシステム、The Rib Rig #001。歩く/登る/攀るといったフィールドでのあらゆる動作に対応する汎用性が高いギアキャリアとして、バックパックとの併用も前提に、可搬性を保ちつつも関節可動域への干渉を避け、同時に足下の視界を確保や排熱性も意識したデザインを構築することで、快適な使用感と体の動きへの追従性を追求しました。 幅広い調整幅を実現したハーネスシステムに加え、使用者の荷物量との体格に合わせてコンパートメント容量を選択出来る Small / Regular の2サイズを設定しています。
https://t3ec.net/rr001/
フィールドでの行動中に邪魔にならないところに交換用の機材を吊しておく道具なわけで、いわゆるカメラベストの範疇に入るものではある。けれど、The Rib Rig #001には特筆する点がある。それがRegularモデルはフルサイズ一眼レフ用の70-200mm F2.8というレンズをも飲み込む容量があるということだ。超望遠や超広角といった直径の大きい(または全長の長い)レンズを除く使用頻度の高くなる広角から望遠まで(24-200mmレンジ)のレンズであればズームでも単焦点でもだいたいはバックパックを下ろさずいつでも交換できるようになるのだ。
The Back Pack #001 V2でかなりの満足を得ていたにもかかわらず、モアベターを求めThe Rib Rig #001 Regularを購入したのはまさにこの点だった。先日、鍾乳洞で撮影をすることがあったのだが、肩がギリギリ通るかというような狭い通路を、三脚と交換レンズを抱えて這い回るということがあった。この時にWANDRDのVEERというパッカブルバックパックに交換レンズを入れ、三脚は手に抱えながら行動していたのだが、暗く滑りやすい足下で両手が空いていればどれだけ安心できただろうと感じた経験が購入を後押しした。
参考までに、以下各モデルのサイズと価格。
モデル | サイズ | 価格 |
---|---|---|
Small | W 230 D 50+20 H 140mm / 410g | ¥17930- (税込) |
Regular | W 270 D 55+20 H 150mm / 440g | ¥19030- (税込) |
インプレッション
ここからは購入後、実際に撮影に使用してみてのインプレッションだ。レビューではなくインプレッションとするのは使用期間が短く、今後長期使用した際に不満点が出てくる可能性が高いためだ。あくまで、現時点で購入前後でどれほどイメージしていたことにズレがあったのか、またはなかったのかという点で語る。
The Rib Rig #001の片側にEF 70-200mm F2.8L IS II USMを収納、もう片方にはRF 16mm F2.8 STMとフィルターポーチを収納すると(上の写真では片側しか入っていないが……)脇腹に若干の圧迫は感じる。しかし不快というわけではなく、むしろブラブラせず肘置き代わりにも使えたりするので、シャッタースピードが遅くなりがちな場面では安心材料でさえある。
肩にかけるハーネスは太めのリボンテープなので、重量のあるレンズを長時間入れていると肩が凝ったりするかと心配したが杞憂だった。身体に密着していることで荷重は分散され、バックパックにレンズを仕舞っているときより快適なぐらいだ。
The Back Pack #001とのマッチングも当然ながら問題ない。The Rib Rig#001の¥19,030という価格に躊躇してThe Back Pack #001 V2は単独での収納力を考慮し大きめの60Lモデルを選んだが、これほど快適ならば最初から40LモデルとThe Rib Rig #001にしておけば良かったと若干の後悔をしている(The Rib Rig #001と併用するとバックパック側から相当量の荷物が前に移動してくるため)。
余談だがEF 70-200mm F2.8L IS II USMは88.8mm x 199mmというサイズなので、マイクロフォーサーズやAPS-Cフォーマットのコンパクトなカメラであれば標準ズームと組み合わせても収まるだろう。※Regularサイズモデル