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尾瀬の湿原を歩き尽くす1泊2日のテント泊
ちょっと大げさなタイトルだけれど夏休みのファミリー登山として、尾瀬ヶ原をメインとした尾瀬の西エリアにある湿原をグルッと歩いて回るテント泊ハイクをしてきた。なんだかんだと4年連続の尾瀬ハイクだ。(過去の尾瀬の記事は下のリンクから)
福島での撮影が続いていて少しばかり疲れが溜まっていたので、直前まで山梨の笠取山にしていたのだけど、天気を見て尾瀬の未訪エリアへ切りかえることにした。結果的にはこれで良かった、というか尾瀬は晴れでも雨でも裏切らないという思いが強くなった。
ルート
今回とったルートは尾瀬の西側エリアにある湿原をぐるっと網羅する時計回りのルートだ。鳩待峠を起点にして山の鼻へ下り、尾瀬ヶ原を突っ切った先にあるどの登山口からも最も遠い見晴のキャンプ場にテントで1泊。翌日は尾瀬の南側の尾根上にある富士見田代やアヤメ平といった湿原を歩いて鳩待峠へ戻るおおよそ20kmの行程になる。
健脚なら日帰りで行って帰ってこれるルートだが、尾瀬の雄大な風景を前にして夕方から夜明けまでの光景を目にしないのはあまりにももったいない。燧ヶ岳も登るならさらにもう1泊したいところだ。(家庭の事情で2泊は難しいものの)
真夏でも冷涼な湿原の風の気持ち良さはもちろん、本来なら秘境でありながら整備された木道のおかげで最奥の見晴エリアでも入浴できたり氷菓を楽しめたりするアンビバレンスも尾瀬の魅力だと思う。
Day1 鳩待峠─山の鼻─竜宮十字路─見晴
鳩待峠─山の鼻
1日目。
特に渋滞などもなく群馬県片品村の戸倉第一駐車場に6:30ごろ到着。ざっと準備をして乗合いタクシーで20分ほど揺られると登山口となる鳩待峠だ。ちなみに鳩待山荘は2023・2024年度はリニューアルにともなって営業休止となっているので、利用を考えている場合は要注意。
鳩待峠からの入山が3度目となると慣れてしまったのか、動画ばかり撮っていて実は山の鼻までほとんど写真を撮るのを忘れていた。といっても感動が薄れたわけではなく、動物や森の様子に気をとられていたというのが大きい気がする。
尾瀬ヶ原─竜宮十字路─見晴
山の鼻をすぎて尾瀬ヶ原に入るとひたすらに木道歩きだ。一般的な登山道でもそれなりに足場は制限されるが、木道となるとそれはさらに厳しく、少し先に気になるものがあっても近寄ることができない。前回の尾瀬沼ハイクでそのことを確認していたので今回もEF 70-200mm F2.8L IS II USM(望遠レンズ)を持ってきた。
望遠レンズを使うと遠くのものを大きく撮れるのはもちろん、遠くも近くもデカいという迫力のある風景を切り取れるのが楽しい。至仏山や燧ヶ岳を見て「デカいなぁ……」と感じたイメージに近いままズドンと撮れるのがいい。その分ずっしりと肩に重量がのしかかるというトレードオフはあるけれど。
逆にスマートフォンが得意とする広角から標準域ぐらいの画角だと、ひたすらに似たような写真ばかりになってしまうとも言えるので、広角はスマートフォンに任せてDSL(デジタル一眼)は望遠専門にしてしまうのが良いのかも知れない。野鳥を追いかけないのであれば、いっそのこと85mmや100mmのマクロといった単焦点に割切ってしまうのもいいだろう。
竜宮十字路を越えれば見晴まではもう少し。まだまだ時間はたっぷりあるので竜宮小屋のそばでランチ休憩をしてから見晴を目指すことにした。
竜宮小屋の裏に流れる沼尻川(群馬・福島県境)を渡りしばらく歩くと、木道の先にちょっとした集落が現れる。目指す見晴地区だ。戸倉第一駐車場から乗合いタクシーで20分、鳩待峠から10km歩いて人里からは隔絶された世界にいるはずなのに、目の前にまっすぐに伸びた木道と山小屋群があるというのはちょっと不思議な感覚になる。
本当にこんな場所でビールやアイスクリームにありつけるなんてどうなってるんだ……(歩荷さんありがとう)
燧小屋で幕営の受付を済ませ、テントを張り、少し昼寝をしたら夕食前に夕暮れの尾瀬ヶ原を少しさんぽする。印象的な夕焼けとはいかなかったけれど、心地良い風が吹く夏らしい光景を目にすることができた。猛暑が続く首都圏暮らしで、日暮れ前の気持ち良さをすっかり忘れていたことに気付き、真夏にわざわざ10kmの道のりを歩いてきた甲斐があったと実感できる。
夜は薄雲がかかり、ときおり雨が降ったので星空を眺めるのは早々に諦めてシュラフに潜り込んだ。
Day2 見晴─竜宮十字路─富士見田代─アヤメ平─鳩待峠
尾瀬ヶ原の夜明け
明けて2日目。
目覚ましをかけたわけでもなく、日の出の少し前に目が覚めた。テント越しにうっすらと空が明るんできていることを感覚して自然とカメラを手に外に出た。弥四郎小屋の前で振り返ると淡い朝焼けに燧ヶ岳のシルエットが浮かび上がっていた。
視線を尾瀬ヶ原を挟んで反対側へ向けると、紺碧に浮かぶ下弦の月と燃えるような雲を纏った至仏山があった。前夜の雨から薄もやに浮かぶ姿を思い描いていたけれど、こんな予想外もまた嬉しい。
尾瀬小屋のフレンチトーストとアサギマダラ
ひとしきり朝のドラマを楽しみテントの撤収をしながら7:00の尾瀬小屋の営業開始を待つ。テントをたたみ、散らかった荷物を改めてバックパックに詰め込んだらちょうどいい時間になっていた。さっそくテント場から尾瀬小屋のウッドデッキへ移動してフレンチトーストを注文した。
アイスクリームと生クリームにミントが添えられ、少しカリッと焼き上げられたフレンチトースト。しっかりと甘いけれどミントのおかげですっきりと食べられるし、1日目よりも長く歩く今日にはありがたい。
朝食を終え出発前にトイレを済ませようとテント場へ向かっていると、アサギマダラが翔んでいるのが目に入った。フジバカマがあちこちに咲いていていつ出会えるだろうと期待していただけに嬉しい瞬間だった。色もさることながら優雅な飛翔も魅力的な蝶だ。
竜宮十字路─長沢
竜宮十字路から富士見田代へ向かう南側の長沢方面へ折れると風景は一変する。ひたすらに見通しの良かった湿原から、広葉樹が生い茂る森と急登が尾根上にある富士見田代まで続く。ここもほとんど撮影はしなかったが、登山道のそばを流れる沢音とときどき吹き抜ける風で、うだるような思いはせずに済んだ。
富士見田代─アヤメ平─鳩待峠
長沢の急登を登りきると突然あらわれるのが富士見田代だ。頭上の森が途切れ、空が明るくなったと思ったらいきなり池が目に飛び込んでくるというのは他の場所ではあまりない経験だ。
ここから先は若干の登りは残っているものの、鳩待峠までほぼ緩やかに下りながらアヤメ平や横田代などの高層湿原を眺めながら歩くことになる。出発時にやや不足を懸念した水や行動食も、ここまでくれば残りは十分。風に揺れる水面と燧ヶ岳を眺めながら軽食休憩にした。
富士見田代ではやや怪しかった雲行きもアヤメ平に着く頃にはすっかり晴れ、夏らしい空に草がたなびく楽園のような風景の中を快調に歩けた。道の様子からあまり人の歩かないコースと感じたが、ハイシーズンにこの風景を独り占めしながら歩けるのは至福の極みだろう。
動画「2 Day Hike in OZE NATIONAL PARK」
この記事に書いた2日間、総歩行距離35km(YAMAPでの記録外も含む)の様子をまとめた動画をYouTubeで公開しているので、ぜひ夏の尾瀬の空気を感じてほしい。
撮影機材
見晴の小屋リンク
最後に見晴エリアの山小屋情報を各施設のサイトから抜粋したものをまとめておく。
詳細については小屋名からリンクしているので各施設で確認してほしい。