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命の循環を色濃く感じた紅葉の瑞牆山
侮っててすいません……
なんだか意識高そうなタイトルですが、シンプルに山の持つ表情がめちゃくちゃ豊かで楽しいぞ!っていう話なので身構えずにどうぞ楽しんで行ってくださいまし。
さて、毎度「これで今年の紅葉登山は最後かなー」なんて思いながらキーボードを叩いているのですが、前回の大菩薩嶺からさらに一杯おかわりがありました。友人の 胸肉氏 に「金峰山か乾徳山に行かない?」と誘われルートの相談をしながら「夏に登れなかったから瑞牆山の周回はどう?」と提案したところOKということで瑞牆山に登ってきました。
なんとなく「金峰山のついで」とか「昇仙峡のてっぺん」みたいなイメージだったのですが、いざ登ってみるとめちゃくちゃ楽しい山で百名山にリストされているのも納得な山でした。侮っててすいません……
ルート
前段でちらっと触れましたが、今回のルートはみずがき山自然公園を起点にした周回ルートを時計回りに歩くことにしました。コースタイムは9km強、獲得標高は1,000mちょっとで約6時間ぐらい。早朝の瑞牆山北斜面を沢沿いに登っていくので、秋から冬にさしかかるタイミングということもあって風景のバリエーションをたっぷり楽しめます。
標高1,400~2,200mのゾーンを歩くので秋とはいえ油断は禁物。詳しくは後述しますが、今回チェーンスパイクを持っていくのを忘れて少し後悔しました。
溢れんばかりの期待を胸にスタート
朝5時に 胸肉氏 と合流して若干の渋滞はあったものの7時半頃にみずがき山自然公園に到着。中央道を走っている途中で南アルプスや八ヶ岳のモルゲンロートを拝めたので溢れ出しそうな期待を胸にスタート!(上の写真は夏のキャンプ時に撮影したものですが、これからあのてっぺんに登ります)
気温は測り忘れましたが、ウェアはfinetrackのスキンメッシュ > foxfireのサーモコア > Mammutのロングスリーブ > Milletのティフォンウォームのレイヤリングでちょうど良いぐらいでした。念のためバックパックにはfinetrackのポリゴン3フーディを入れてあります。
スタートしてからしばらくは舗装された林道を歩き、少しだけつづら折りを越えたあたりから本格的に登山道に入ります。花崗岩質の山体だけあって足下は白い砂利(真砂)。ボーッとしてるとザリッとすくわれる感じですが、足下が真砂の山は明るくて好きです。(2,000m級の奥秩父の山はだいたい当てはまりそう)
しかしそんな道はわずかに10分も続きませんでした。すっかり落葉してしまった白樺が続いたかと思えば今度はシャクナゲの海です。シャクナゲといえば十文字峠や甲武信ヶ岳が有名どころですが、瑞牆山の群生ぶりにはびっくりしました。上の写真では道の左右に広がっているだけに見えるんですが、クマザサやハイマツのような密度で山体全体がシャクナゲで覆われてるんですよね。6月頃にきたら壮観な光景を目にすることができそうです。すごい。
目が休む暇のない北斜面
圧倒的なシャクナゲに驚きつつも歩を進めたい……のですが、目を惹くものが多くてなかなか進みません。「おっ」と思う岸壁を見ればクライマーのマーキングやとんでもないところに残置されたロープに「あそこ登るのかよ……」と驚かされますし、あっちこっちの岩の隙間や割れ目から湧き水が流れて苔を潤しています。
さて、水といえばこのルートは何度か渡渉を迫られるのですが今は11月下旬。標高が上がってくるにつれて沢の飛沫が凍り付いていたり落ち葉が霜で覆われていたりと足下に緊張感が出てきます。(余談ですが、そこら中に新しめの熊の糞が落ちてるという意味でも緊張感があるルートでした)
このルートは不動滝という大きな滑滝が休憩ポイントになっているのですが、そこでチェーンスパイクを忘れてきたことを後悔することになります。
それがこの一コマ。おそらく不動滝の上部を渡ろうとして岩の表面に付いた氷で足を滑らせたのでしょう。雄の鹿が滝壺の少し上で息絶えていました。状態から見るとこの日の夜から明け方にかけて滑落したと思われますが、顎は砕け、足もぐにゃりと折れ、冷たい滝の水に洗われていました。
この山で活きていく上ではこのようなことは避けては通れないわけでごく当たり前の営みではあるのですが、例えばモルゲンロートを狙ってナイトハイクでポイントへ向かう途中に足を滑らせれば、そこにいるは鹿ではなく私だったかもしれないと肝が冷えた瞬間でもありました。
クライマックスへ
森と水が作る晩秋の風景や動物たちの活きる痕跡に心を揺さぶられた前半戦も終わり、いよいよ山頂というクライマックスが近づいてきました。木々の間から漏れてくる光の強さに稜線が近いことを感じ、最後の急登を照らす光に飛び込んだ先に待っていたのは今年一番の大展望でした。
金峰山へ続く稜線とその先にスッと聳える雪化粧の富士山。
右へ目を移すと南アルプスと中央アルプス。その先の御嶽山。
さらにグルッと回ると目の前の八ヶ岳と北アルプス。
大菩薩嶺に登ったときにも感じたことですが、山梨の山の紅葉期が圧巻なのは眼下に広がる真っ赤な裾野と、深い青に染まる山々のコントラスト。瑞牆山はしっとりとした森や沢、息を切らす急登、その先にある大展望(と断崖の恐怖)というダイナミックな変化が楽しめる魅力たっぷりの山でした。
The Lush Mountain – Mt.Mizugaki –
恒例になってきた登った山のダイジェスト動画です。今回もEOS R5のみで撮影。ようやく勘所が掴めてきました。