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紅葉の残照と冬の訪れを楽しむ大山サンセットハイク
2024年の12月も半ば。寒気の訪れで急に冬らしさを増してくる中、まだ秋の残照のように赤く彩られた丹沢の大山を歩いてきた。
信仰の山として阿夫利神社が祀られる大山は、東京の高尾山や御岳山のように神社を中心に茶屋やケーブルカーなどがあり、暮らしの営みと自然を繋ぐポイントのような山だ。登った日は12月17日と冬至が近く側に富士山を望む立地から、日暮れに合わせて登頂するサンセットハイクをしてみることにした。
※下山時は陽が落ち急激に気温も下がり周囲も暗くなるので防寒着とヘッドライト、カロリーを補う行動食を多めに持つなどリスクに対する準備は必要だ。
ルートはマップの通り。YAMAPの記録では6.9km、上り下りともに950mだ。当初は麓から下社の間はケーブルカーを使わず上りは女坂、下りは男坂の予定だったが、山頂で予定変更しケーブルカーで下山した。
のんびりスタート
いつもならとっくに登山を開始している時間に家を出て、大山の駐車場(NTTル・パルク伊勢原大山第1駐車場)に着いたのはすっかり日も高くなった10時ごろ。山頂に着くのは日没近くでいいので準備もゆっくり。神社の周りには茶屋やカフェがあるので途中の補給も安心だ。
宿坊街は平日ということもありほとんどが店を開けていないが賑わっている様子を想像しながら歩を進め、ケーブルカー駅の少し先の分岐から女坂へ入り、いよいよ登山開始。近くに寄ればさすがに萎れているものの、歩きながら楽しむにはまだまだ麓近くの紅葉は色鮮やか。
30分ほど歩くと大山寺へ到着した。狭い谷あいを進んできた先に広がる大きな破風は迫力だ。休憩を兼ねて手を合わせたら本堂横の通路を抜けて登山再開。
阿夫利神社(下社)でひとやすみ
大山寺からまた30分ほど歩くと大山阿夫利神社の下社だ。正直、女坂と称すには急勾配じゃないか?と思わなくもないが、男坂に対しての表現なんだろう。(男坂は結局通らなかったのでどの程度急なのかは分からない)
下社の回りには数軒の茶屋(ルーメソの垂れ幕が有名)が並んでいたり、ミシュランの星付のカフェがある。ここだけでも十分に楽しむことができる。時間に余裕があればゆっくりと境内を見て回りたいところだ。
日暮れに合わせて登りきればいいといっても1~2時間も余裕があるわけではないので、茶寮石尊でコーヒーと甘味で一息入れるに留め、山頂へ向かうことにした。
社殿に向かって左手に進めばいよいよ大山登山の本番、といいたいところだがその前に見ておきたいものがある。
それが本殿横にある巨大な天水桶だ。明治三十七年に奉納されたと刻まれるこの天水桶は川越の鋳物師によるもの。トラックやヘリなんてない明治時代にどうやってこんな巨大な鋳物(しかも一対)を川越から山の上まで運んできたんだろうか。(たぶん新河岸川から相模湾までは舟運だと思うけれど、その先は人力……?昔の人の剛力っぷりは想像が追いつかない)
さて、天水桶に驚いたらいよいよ登山口だ。入山料とお祓いを済ませ鳥居をくぐる。本堂横の入山口が一丁目で山頂が二十八丁目。神社が祀られている山にはこういう目印が多いが、今どの辺り?というのが分かる目安があるのはペースを掴みやすくてありがたい。(感覚が一定じゃないこともしばしばだけれど)
意外とキツい表参道
さて、いよいよ大山登山の本番である表参道だが、初心者向けと呼ばれる割りには意外とキツい。高尾山と同じノリで登り始めると「こんなはずでは……」と感じる程度には序盤から勾配が急でなかなか登り応えがある。YAMAPなどでも下社以降の写真が乏しいのはこういうことなのかと妙な納得感がある。
私は午後の少し温かみのある光に照らされる登山道が好きなのだが、この日は登る間ずっとそんな風景を追いかけられる。サンセットハイクは下山時が暗くなって怪我のリスクが上がるものの、登るときもこういう楽しみがあると気づけたのは予想外のプレゼントだった。
十三丁目。本社までの道のりはおおよそ半分。この辺りになってくると紅葉もほとんど散ってしまって、かえって日差しが入りやすくなり明るくなってくる。
写真や動画を撮りながらのんびり歩いて約2時間。山頂にある阿夫利神社の本社に到着。時刻は14:30、日没までは1時間半ほどあるのに周囲は風を遮るものがあまりなく空気はかなり冷たい。山頂付近にあった温度計を見たところ4℃を指していた。
富士山の見える場所でカップラーメンを食べながらしばらく眺めていたものの、茜空に浮かぶ富士山は雲に遮られていることもあって期待は薄そうだ。風も冬らしく冷たい。ケーブルカーの最終は16:30、急げば間に合いそうなので14:45下山開始。
下山時はまだ少し明るさは残っていたものの森の中は暗く、ヘッドライトを点けて足下に気をつけながら歩いた。下社に着く頃にはすっかり登山道は暗くなっていたが、鳥居の向こうには夕陽に染まる相模湾が広がっていて、富士山は残念だったけどこれが見られたなら「まぁいっか」とちょっとした満足を胸にケーブルカー乗り場へ向かった。
時刻は16:15。最終1本前の16:20の便に乗ってサンセットハイクはゴール。
公共交通機関を使う場合は最終便の時間と要相談だが、今までやらなかった日暮れに合わせるという登山の楽しさに気がついた一日だった。暗くなる中を歩くので低体温や足下に十分な注意は必要だが、眺望の良い山ではこういう歩き方も試していきたい。
特に富士山を望みやすい伊豆半島にはうまくハマるだろう。
ヘッドランプ
今回、下山時に使ったヘッドランプはPETZLのアクティックコアだ。
コアと呼ばれる充電式バッテリーを電源とするヘッドランプで最大600ルーメンの光量を誇る。そこまでの明るさはかえって夜間の歩行では邪魔になるという意見もあるが、そういう場合は光量を落としたモードで対応すれば良い。しかし、今回の様に日が沈みきらないけれど足下は暗いという場合、太陽光に負けないこの明るさは非常に心強いと感じた。
充電ポートがUSB-Cであれば文句なしなのだが、いずれアップデートされるだろう。