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ドラマチックな富士山を求めて─鉄砲木ノ頭
年が明けて年末からのドタバタがなんとか一息ついた1月10日。浅間山に赤城山に男体山と自宅から望む山々も雪化粧が仕上がってきたことだし、そろそろ2025年の山初めをしようとSCWやWindyなどの天気予測とにらめっこをしていたものの、いまいち踏ん切りがつかない空模様。
それならと、ドラマチックな富士山を期待した年末のサンセットハイクが消化不良に終わっていたことを思い出し、雲の気配がない山梨のある山に行ってみることにした。それが鉄砲木ノ頭(明神山)だ。
前回登った大山が丹沢山地の東の端なら鉄砲木ノ頭は西の端。富士山は目と鼻の先、間にあるのは山中湖だけ。隣の高指山(たかさすやま)と合わせて、ただただ美しい富士山を眺める山歩きだ。
出だしが最高潮のサンライズハイク
前回の大山と対照的なのは位置関係だけでなく、登る時間も真逆の夜明けだ。今回のスタート地点としたのは、山中湖明神山パノラマ台というそもそもが富士山の展望スポット。パノラマ台の駐車場でモルゲンロートの富士山を見てから登り始めても良いのだが、鉄砲木の頭の山頂までは30分ほどと大した距離でもない。
駐車場に到着したのはやや空が白み始めた6時頃。そそくさと準備を済ませて山頂目指して歩き始めた。到着時点で既に絶景が広がっていることに加え、山頂までの道はススキ原で見通しも良好。振り返れば常に富士山が聳えているので、刻々と色合いを変化させる富士山を思う存分楽しめる。
とはいえ、あまり富士山の写真ばかりでは退屈なので薄明に浮かび上がるモチーフを探してはシャッターを切る。ただの枯れ木やなんでもない街並みであっても、夜が明けるというだけでドラマチックだ。
この日持ってきたカメラはRICOH GRIIIxとDJI OSMO POCKET 3の2台。いずれも単焦点のカメラなので撮れる写真の画角に劇的な変化はない。とはいえ、紺青の静かな空から茜を含んだ多彩なグラデーションへ移りゆくさまは見飽きない。
相模湾が眩しい鞍部
鉄砲木ノ頭で赤富士(というほど赤くもなかったけれど)を堪能した後はもうひとつの展望スポットである高指山へ向けて歩きだす。
鞍部となる切通峠までは約250m下り、そこからまた100mほど登り返しとなる樹林帯だ。見晴しの良かった登山口から鉄砲木ノ頭までの道と異なり、富士山も山中湖もほとんど見えないものの、広葉樹が落葉した冬なら朝日に煌めく相模湾が望める。
麓へ下る道と高指山への道の分岐点。高指山までは1.3km、普段の山なら1時間以上はかかりそうな距離だが、ここはなだらかなので所要時間は30分ちょっとだ。温かいお茶をひとくち含んで歩を進める。
ふたたびの絶景に会える高指山
切通峠を越えると道はまたススキ原となり展望が開けてくる。雰囲気はほとんど鉄砲木ノ頭と変わらないが、富士山を中心とした風景の構図はより完全となる。というのも、富士山自体が宝永山と御庭のバランスがより対称に近くなる上に、その真正面に山中湖が並ぶのだ。
登山の拠点となるポイントからはこちらの方が遠いので赤富士を狙うならより暗いうちから歩き始める必要はあるが、高指山で温かい飲み物を手に星空を眺めながら夜明けのドラマを待つというのも魅力的な選択肢だ。
下山メシと浅間神社
鉄砲木ノ頭と高指山を巡る富士見ハイクを終えたら下山メシだ。ここは山梨、氷点下の山歩きで冷え切った身体が求めるのはほうとうしかないだろうということで、ほうとう不動へ車を走らせる。幸い店はそれほど混雑もなく着いて5分ほどでアツアツのほうとうにありつけた。芯まで冷え切っていた身体に温もりが戻り、まだまだ時間は十分に残っていることにようやく気がついた。
不動については2019年にも訪問しているので詳細はそちらを参照してほしい。
身体も温まり思考も回復してきたので北口本宮浅間神社へ参拝することにした。駐車場はいくつかあるが、巨木が立ち並ぶ厳かな参道に近い国道139号沿いのP3から入るのがおすすめだ。
参道の先に聳える大鳥居をはじめとした北条義時、武田信玄といった有力者らが造営を重ねた十一の国指定重要文化財の建築群は圧巻。荘厳な社殿がほぼ一直線に並んでいる姿に、誰であろうと富士山への畏敬の念を覚えずにはいられなかったのだろうとイメージが膨らんでくる。
さほど信心があるわけでもない私も場の空気に当てられて、柄にもなくお札をいただき帰路についた。
カメラとフィールドテスト
今回の山行は山歩きを楽しむという目的の他にいくつか試そうと思っていたことがある。ひとつはGRIIIxのみで山を歩くとどうなのか?ということ。もうひとつが近々販売を開始しようと考えている3Dプリンター製のプロダクトであるDJI POCKET 3用のホルスター「SIDEKICK for DJI OSMO POCKET 3」だ。
前回の大山でPOCKET 3の画質や使い勝手には満足していたものの携行に不満が残ったのだ。GoProマウントを使ってショルダーハーネスにマウントする既製品はあるがイマイチ満足できそうにないので、3Dプリンターで自分が欲しいものは作ってしまおうと設計したものだ。
プロダクトとしてはシンプルで以下の4点を基本的なコンセプトとしている。
- 特別なアダプターなどを要せずバックパックのショルダーハーネスに装着できること
- 不用意な電源オン(画面の回転)を防げること
- グローブをしていても扱いやすいこと
- 屈んだり不安定な姿勢になってもしっかり本体をホールドできること
この条件を満たす構造自体は比較的すぐにできあがったが、そこから意外と難題続きだった。
当初使用していた素材が夏場の車内で変形する可能性が高く変更を余儀なくされたり、機能を欲張りすぎたために強度が不足してしまったり、質感向上のために表面処理を変更したらクリアランスが厳しくなり設計をやり直すことになったりと、完成まで都合12回の試作を繰り返すことになった。
そんなわけでようやくフィールドテストにこぎつけた。いろいろと試行錯誤を繰り返したおかげで期待していた性能は十分に満たしていることを確認できた。気になる方は販売ページ(BOOTH)をで「入荷お知らせメールを受けとる」をクリックしてほしい。
動画
SIDEKICKのプロトタイプを装着してテストをしながら撮影した動画だ。
ショルダーハーネスの胸の高さに固定して歩いているので、少し揺れるシーンが多いが、SIDEKICKが安定してPOCKET 3をホールドすることが確かめられた。