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最初の1滴を求めて─多摩川の源流、笠取山へ
ゴールデンウィーク後半の中日、東京の水源「多摩川」の源頭がある笠取山を歩いてきた。以前にもテント泊で登ったことのある山だが、今回は家族でのテント泊。コース的には日帰りでも十分なものだが、テント場のある笠取小屋から山頂部にかけては夕景・朝景ともにとても楽しめる場所なので、1泊して堪能しようという計画だ。
緑萌ゆ作場平
今回のコースは笠取山でもっともポピュラーな作場平登山口から入山し、笠取小屋でキャンプ、山頂や多摩川の源頭となる水干(みずひ)を周回する1泊2日のコースだ。
GWのまっただ中で天気にも恵まれていたため作場平のは通常の第1・第2駐車場の他、臨時で2つの駐車場が設けられていた。我が家は笠取小屋へ幕営する予定で、到着を遅めの12時頃としたため、ちょうど下山してくるハイカーと入れ替わりですんなりと第1駐車場に駐めることできた。
先日新調した登山靴(La SPORTIVA Boulder X MID GTX)に履き替えてエントリー。ちなみに作場平(というか山域のほとんど)は携帯電話(docomo)の電波が入らないので、オンライン登山届やスマホ用地図のダウンロードなどは事前に済ませておいた方が良い。
作場平からテント場のある笠取小屋までは標高差約450mほどのゆるやかな登り。頭上はミズナラやブナ、カエデなどの広葉樹が若々しい葉を広げ、足下には瑞々しい苔と澄んだ沢が流れる歩きやすい道が伸びている。ゆっくり歩いても15時までには小屋に着くので、両手にα6700搭載のジンバルとEOS R5を握り、のんびり気になったものを撮りながら歩く。
春爛漫の笠取小屋
少し陽の光が色付き始めた頃、笠取小屋へ到着した。以前来たときは7月で花は咲いていなかったので気がつかなかったが、小屋の周辺はちょうど桜が満開。初夏の気配が漂っていた登山口と変わって、ここは少し季節を遡って春が来たところらしい。
テントを設営したら夕食の前にすこし周辺をさんぽする。大小さまざまな哺乳類の痕跡はあるが、連休で人が多いせいか姿は見えない。
テントに戻って夕食の準備をする。今回のメインはこのチキンだ。前日に筋をとり、塩とバジルを振ってピチットシートで乾燥させた鶏モモ肉を冷凍しておいた。保冷バッグから取り出すとほどよく解凍された状態で、ニンニクと一緒に焼くと食欲を誘う香りが立ち上る。(肉や魚は塩を振ってピチットシートで半日くるんでおけば、ドリップ由来の臭みは取れ旨味がギュッと詰まった状態になるので業務用を常備しておくのがオススメだ)
しっかりと余分な水気を取っておいたおかげで、山の中とは思えないプリッとした歯ごたえのグリルチキンができた。旨味を含んだ残り油でトマトとソーセージも焼き、炊き上がった白米やビールと一緒に口に放りこめば完璧な一日のできあがりだ。
朝日とともに山頂へ
明けてAM4:20。明るくなる空とともに活動開始。カメラとペットボトル1本を持って山頂部へ向かう。薄暗かった道も10分ほど歩いているうちにみるみる明るくなり、隣の山肌はうっすらと赤く染まっていた。
富士川・多摩川・荒川の三河川の分水嶺を越え、山頂への急登を登っているときに振り返ると、ちょうど富士山が朝日に照らされているところだった。
急坂を登り切った山頂(といっても実際の山頂はもう少し奥の岩稜)からは、今登ってきた坂の影と、雪を纏った南アルプスへ続く山並みが広がっていた。
多くの人はここで引き返しテントを撤収して下山するようだが、笠取山はここからが面白い。
ゴツゴツとした岩稜にたっぷりとした苔や松、石楠花の木々が並び立ち、まるで日本庭園のような回廊が続くのだ。今回は快晴だったが、霧が出ればさらに幻想的で美しい風景が広がる。
2021年撮影。霧が出ると光に包まれているような不思議な光景となる
山頂の稜線を抜け、ぐるっと折り返してくるといよいよ多摩川の源頭「水干」が現れる。
水干を表す標柱の周辺に湧水や流れは見えないが、すこし周囲を探してみるとぽとぽとと雫が垂れているところがいくつかある。このひとしずくがあっという間に川と呼べるほどの流れになり、大きなV字谷や河岸段丘を作り、東京湾へ注ぐというのはパッとイメージしにくいスケール感だ。しかしながら、奥多摩や大丹波を経由してここへやってくると、そういったスケール感も現実として飲み込め、なんともいえない感慨が押し寄せてくる。
動画「源流を求めて─笠取山テント泊」
今回も1泊2日のテント泊山行を5分ほどの動画にした。緑豊かな笠取山の様子が伝われば嬉しい。