当サイトは広告・アフィリエイトプログラムにより収益を得ています。
「夏になれば思い出す」そんな尾瀬を求めた家族でのテント泊
尾瀬と聞けば、つい童謡「夏の思い出」を脳裏に浮かべてしまうのですが、広島で育った私にとって数年前までは歌詞にあるとおり「はるかな」場所でした。そのことは2019年に訪れた際に書いた記事でも触れている通りです。この時は山の鼻から至仏山を登り、鳩待峠へ下る日帰り登山でした。
その後、ブログにまとめるのを忘れていたのですが2020年10月にGoToトラベルを利用して至仏山荘に1泊し、前回眺めるにとどまった尾瀬ヶ原を楽しみました。(終始雨の中で紅葉ハイクとしてはやや消化不良ではありましたけど)
いずれも尾瀬エリアの西側で、尾瀬の中心に聳える燧ヶ岳とその向こうにある尾瀬沼はまだまだ「はるかな」場所のままだったので満を持して(というほどのことでも……)尾瀬沼エリアをテント泊で楽しんできました。
DAY1
大清水駐車場~一ノ瀬バス停
尾瀬沼を目指す今回のスタート地点は、大清水小屋からバスで15分の一ノ瀬休憩所。下山後は毎回、ソールを洗っているので問題はないと思いますが、登山口の掲示に従い足裏の土を落としてから入山します。
沢の音を楽しみつつしばらく進むと大きく道が崩れた場所が現れました。一ノ瀬休憩所で「水源が台風で流されたためトイレが使えません」と掲示がありましたが、ここの崩れのことだったのでしょうか。木道で隠れて見えにくいですが、道の半分以上が陥没しているので残った道まで流されてしまわないか心配になります。
一ノ瀬からこのルートの最高到達点になる三平峠までは約2kmで400mほどの登り。バスの運転士さんには「結構登るから頑張ってね」と声をかけられるものの、基本的には穏やかで周囲の森の様子を楽しむゆとりとシラビソの爽やかな香りが楽しめるルートです。
欲張った装備をしたおかげでザックの重量が16kgほどありかなりゆっくりペースでしたが、入山からおおよそ1.5時間で三平峠へ到着しました。ここからは尾瀬沼へ向かってゆるやかな下りのみですし、13時のテント場の受付時間まではたっぷりと余裕もあるので、子どもの夏休みの宿題用の観察もしながら歩を進めます。
尾瀬沼畔
三平峠から30分ほど下ってくると前方が明るくなり、尾瀬沼が近づいてきたことが分かりました。
尾瀬沼山荘を通り過ぎ、いよいよ尾瀬沼畔へ。雨は上がり、空も青さが見えてきたものの燧ヶ岳は雲の中。入山前に確認した天気図と雲量予測では、この日の夜半から翌日の午前にかけては晴れ空が広がるようなので今日のところは足下の景色を楽しむことにします。
湖畔へ下りてくると植生も変わり、花や蝶にトンボや虻など賑やかになってきます。一方でチラホラと真っ赤なナナカマドの葉が落ちていて、尾瀬ではすでに秋が近づいている様子もうかがえます。
尾瀬沼地区
そうこうしているうちに長蔵小屋を中心とした尾瀬沼地区に到着です。山の鼻地区もそうでしたが、尾瀬の山小屋は数軒の小屋が「通り」の様相を呈していてちょっとした街のような雰囲気で不思議な感覚になります。docomoの電波すらまったく届かない山の中でピアノが聴けたり、ピザが食べられるなんて思わないじゃないですか。
長蔵小屋別館でランチを頂いたあと、まだテント場の受付時間まで余裕があるので2021年にリニューアルされたばかりの尾瀬沼ビジターセンターで、尾瀬沼周辺の動植物や尾瀬沼の歴史を学んだりして過ごしました。建物の大きさに比して展示点数は物足りない気もしますが、パネル展示は周辺の動植物観察の助けとしては十分に分かりやすく、目だけではなく頭でも尾瀬を楽しむことができる施設でした。なお、ビジターセンター周辺の工事は2025年まで続くようなので、その頃にまた訪れてみたいと思います。(その時は檜枝岐から入山してみたいですね)
ちなみにビジターセンターでテント場の受付を待っている間に外はどしゃ降りになり、ビショビショに濡れながらテント設営するハメになり、この日の午後に予定していた大江湿原~小淵沢田代への散歩は諦め、テントでゴロゴロ過ごすことになりました。
尾瀬沼キャンプ場について
今回の宿泊地である尾瀬沼キャンプ場について、簡単に情報をまとめておきます。
キャンプサイトの管理は尾瀬沼ヒュッテで、オンラインでも予約可です。料金は1人1泊1,000円でデッキサイト(全28デッキ)上に設営する形。デッキは2人用山岳テントなら詰めれば2張いけなくもないですが、張綱はペグではなく石で固定することになるので1デッキ1張が無難な定員です。
現地での受付(チェックイン)は13時から。チェックアウトは翌日12時までで、撤収後にヒュッテ玄関の返却箱へ札を返せばOKです。
DAY2
幻想的な夜明け
1日目の後半は雨で潰れてしまいましたが、予報通りに夜半からは雨が上がり肉眼でも天の川が見えるほどに好転しました。とはいえ、空の眺望が良さそうな場所へ向かう途中でツキノワグマの気配があったり、ぬかるんでいて三脚が立てられる場所が限られていたので、残念ながら満天の星空と燧ヶ岳の写真はまたの機会へお預けになりました。
さて……気分を変えて午前4時。
星を撮るには向かなかった天気ですが、明け方の湿原としては最高の条件になってくれたようです。うっすらとした日差しと風に乗ってゆったりと流れる霧が深い青の世界を一層と幻想的に演出していきます。
シルエットだったものが朝露に洗われながら徐々に形を纏っていくこの時間帯、見えている風景とは裏腹に撮影するとなるととても忙しいのですが、澱んだ気持ちもすっきりと流してくれて好きです。
湿原を望遠ズームレンズで堪能する
夜明けの慌ただしい時間が一段落したところでレンズを標準ズーム(SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | ART)から望遠ズーム(EF 70-200mm F2.8L IS II USM)に切りかえて大江湿原周辺を散歩します。ザックがやたらと重かった原因がこの望遠ズームだったわけですが、木道で行動範囲が制限される湿原ではこのレンズが強い味方になってくれるはずです。
いつもはレンズが短くて諦める、湿原を悠々と翔ぶ野鳥を切り取れる楽しさ。
グッと尾瀬沼の要素を凝縮したシーンを切り取れる気持ち良さ。獲得標高が400mちょっとの一ノ瀬─尾瀬沼ルートだからこそ選択肢になったわけですが、切り取った写真を見返すと重い思いをした甲斐があったなと感じます。
帰路につく
美しい朝を堪能したら天気が崩れてこないうちに大清水へ向けて帰路につきます。
もう1泊して夕陽に焼ける燧ヶ岳を眺めていきたい気持ちに後ろ髪を引かれつつ晴れているうちに撤収です。
さらば尾瀬。「夏になれば思い出す」そんな歌詞の通り、心に刻まれる風景を堪能しました。次回は燧ヶ岳の上から眺めに来ます。
今回の山食
長蔵小屋別館でのランチを除いて、1日目の夕食と2日目の朝食はここにまとめます。日帰り登山ならカップ麺やカレーメシ系の簡単なもので済ませるところですが、尾瀬はあまり高低差がないのでそこそこ重いフードでもいいかなと選んでみました。
ひとつめはこちら。アルファ米では定番の尾西食品とココイチのコラボのカレーライスセット。温かいカレーを食べるには熱湯を注いで15分待つ必要がありますが、ほっかほかで間違いないカレーを山の上で食べられるのは満足度が高い。カレーメシと較べて重い・時間がかかるもののテント泊ならこちらを選びたい。
ふたつめは無印良品のレトルト食品「牛肉の赤ワイン煮」。こちらに至っては「山で食べられる」という前提を外しても、そもそもとても美味しいのでシチュエーションとの相乗効果で「最高」以外の言葉は浮かびません。上の動画は2パックをモンベルのアルパインフライパン 18で温めている様子です。