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2019.10.12 台風避難日記
2019年10月12日の台風19号(ハギビス)が関東に上陸し、川越市で避難した際の記録です。気がついたことなどは都度ツイートしていましたが、忘れないうちにまとめておこうと思います。(気がついたことがあれば随時追記します)
また、この記事と同じく登山ブロガーのももさんも非常時に持ち出せる登山アイテムをまとめてくださっています。合わせてご覧いただくと災害時にご自身が使いやすいアウトドアアイテムが分かりやすくなると思います。
- 写真に写り込んだ人物についての言及がありましたのでぼかし処理を入れ更新しました。(そこで紛糾することは本意ではありませんので)
- 記事後半にアフィリエイトリンクが連続しますが、登山用品など一般的に馴染みのないアイテムを画像と商品名を同時に紹介できるという便宜的な理由です。
- 2023年7月1日に加筆修正、コロナ禍を経て感じたことを追記した部分があります。
前夜(2018.10.11)の買い出し
仕事から帰って遅くまで開いているスーパーへ買い出しに。帰宅する電車内でカップ麺類は空っぽというSNS情報は得ていたので期待はしないものの、登山の時の行動食としてよく持っていくゼリー飲料やチョコバー系の携行食は残っているのでは?と予想していました。
実際にスーパーに到着してみると聞いていたとおりカップ麺はほぼ売りきれ(味噌系が残りがち?)お湯を捨てる必要のあるカップ焼きそばや濃厚味噌系が敬遠されている印象でした。一方、同じ棚面にある袋麺はご覧の通り半分程度は残っていました。調理にお湯を使うのは変わりませんが、器を洗う必要があるのが手を出しにくい理由でしょうか。
とりあえず、長期戦になったときに備えて5個パックの袋麺を2つ確保しつつ、当初の目的であるゼリー飲料や携行食の棚へ移動してみます。いくつかは売り切れているものの比較的選べる状態でしたのでSOYJOYのチョコとブルーベリー味、それとPBのゼリー飲料をどさっと確保。牛乳を消費するためにシリアルも一袋ほうりこんでおきました。シリアルも牛乳とお皿を洗う必要があるからか大量に残っていましたが、そのまま食べることもできますし保存もきくのでカップ麺より優秀では?という気がします。とにかく、ある程度はスーパーで保存食を購入できたので自宅のストックと合わせれば5日程度はなんとかなりそうです。
「カップ麺」「パン」といったワードがSNSで拡散されていた影響かはわかりませんが、調理なし日保ちする携行食系は見逃されている穴場かもしれません。
当日の動き
午前中
前日の夜は買い物とベランダの片付けをしたところで寝てしまったので午前中は台風の情報収集をしながら避難バッグをパッキング。と言っても長期戦に備えてガスを多めに持っていくほかは、基本的に普段の登山とそれほど変わりません。パッキングした内容については後述します。
埼玉県庁のツイートを追っていたら昼前に居住地のステータスが【警戒レベル4】避難勧告 全員避難となったので戸締まりと簡単な昼食をとって避難所へ移動することにしました。自宅は水没の恐れはありませんが、妻が抗がん剤の影響で体調が悪い時期ということもあり、なるべく医療機関へアクセスしやすいところに行っておこうという判断です。なお、自宅の水没の恐れが低いので飼っている猫は多めに食事を用意して留守番させることにしました。
ちなみに市が公開しているハザードマップに載っている最寄りの指定避難所は県庁のツイートで確認したところ、この時点で開設されていませんでしたので2番目に近い避難所へ向かうことにしました。そちらの方が目の前が病院ですし結果オーライですが、暴風雨の中、行ってみたら開いてないというのはこわいので最新の情報を参照しておきたいですね。
水位がどんどん上る
妻と子どもを避難所まで連れて行った後、まだ風と雨がそこまでひどくなかった(傘をさせる程度)ので最小限の荷物だけ持って車をとりにもどりました。上の左が最初の避難時(12:47)、右が車をとりに戻った時(14:47)の状態。同じ場所ですが、(偶然にもきっちり)2時間の間に氾濫寸前になってしまっていました。
この後、ますます台風の影響が強くなると考えると、早すぎるかな?ぐらいで避難を判断をしてちょうどいいのかもしれません。重い荷物を背負って強風の中を歩くのは大変ですし、水があふれ出すと足下も見えなくなりますから。日暮れ前にというのも大事かもしれません。
避難所にて
避難所に到着すると最初に避難者リストに氏名・住所・性別の記入を促され、その後、避難所になっているフロア(要は体育館です)へ案内されます。体操マットと毛布は先着順に配布されていたのでタイミングによっては受け取れないということもありそうです(実際、体操マットはすぐに払底しました)。毛布は備蓄の新品ですが、体操マットはいわゆる体育館のにおいなので気になる方はファブリーズなどの消臭剤を持っていった方が良いかも知れません。
避難所のスタッフの方も不慣れなのか配布のペースが掴めておらず、案の定すぐに足りなくなってしまったので、テント泊装備を持っている方はマットやシュラフだけでなくテントも持ち込むのが良さそうです(使えるかどうかは状況次第ですが備えあれば憂いなしです)。避難所との性質上仕方ないことなのですが、周囲の人のプライベートが否応なく目に飛び込んでくる、または常に見られているというのは自分が想像していた以上のストレスだったからです。(コロナ禍中にキャンプ用品を揃えた方は処分せずにそのまま保管しておくと良いかも知れません)
同様に仕方ないことと言えば暇を持てあました子ども達が跳ぶ、走る、叫ぶといった騒音も絶えませんので耳栓も忘れずに持っておきたいアイテムです。(後から考えるとテントではなくツェルトの方がガバッと被ることもできますし避難所という場所には適しているような気がしてきました)
今回忘れてしまったのですが、騒音から気を逸らせるものがないとストレスが溜まる一方ですしエンタメ系のアイテムも持っていった方が良かったですね。Kindleとか。私はそれらのアイテムを忘れてしまったので子ども達に絵を教えたり写真を撮ったりして過ごしていました。Kindle Paperwhiteは防水でバッテリーの持ちもタブレットなどに較べれば飛躍的に良いのでこうったシーンでは重宝します。
もう一つ気がついたこと。避難所にいると疲れているわけでもないのに座っていられずついゴロゴロしてしまいます。上の写真のような視点がデフォルトになる感じ。なんでだろうと考えたところ座ると周囲の他人のプライベートがまっすぐ目に飛び込んでくるんですよね。普段は他人が食事している様子に特に何も感じませんが、意外とこういった場面ではストレスとして蓄積され耐えられないのかなという印象でした。(これが数日になると想像を絶するストレスです)
今回は幸いにも一晩で帰宅することができたので長期化したときはわかりませんが、避難先が小学校ということもあり、建物内で火器(JETBOIL)の使用は断られました。できれば温かいものを食べて気持ちを和らげたいところですが、この辺りの扱いは期間や施設などケースによってまちまちになりそうなので、一応は持っておきスタッフと相談してみるのが最善かと思います。
パッキングリスト
今回の避難時に持っていったアイテムのリストです。一部食べてしまい実際の量より少なめですが上の写真が避難用ザックに入っていた中身です。
内容の詳細と重量は下記の装備リストと2Lの水にザックを含めて約15kgでした。これらに加え、テントやマットまで持っていくと考えると20kgを背負える体力は常に持っておきたいと思います。
エマージェンシーシート
避難バッグやファーストエイドキットに入っていることの多いエマージェンシーシート(金や銀色のフィルム)ですが、10年以上前に購入したものなどは一度使えるか確認しておいた方が良さそうです。
というのも、この時の避難では使わなかったのですが、別の機会に10年以上前に購入したきり、ファーストエイドキットの中に入れっぱなしにしていた新品のシートが、いざ使おうと開いてみたら劣化していてフィルムが張り付いてしまっていてアルミが剥がれたりフィルムが破れたりしてしまったから。
私はSOLのエスケープヴィヴィを持っているのでそれを避難時にも使いますが、一般的なペラペラしたエマージェンシーシートより同じくSOLの袋状になっているエマージェンシーヴィヴィのほうが使い勝手が良いかも知れません。
着替え
下着上下3セット
finetrackのスキンメッシュやモンベルのジオラインで温度帯が違う3枚ほど。気温差の読みにくい秋ということと、しばらく風呂に入れないだろうということで汗処理しやすい下着があると安心。あとはパンツと靴下数組。ほぼfinetrack製ですが、似たような機能のものならミレーでもマムートでもモンベルでもなんでもいいと思います。
登山時にこの手のウェアを使っている人は実感していると思いますが、汗を肌から分離するというのは本当に効果が大きく、ずっとサラサラで匂わない状態をキープできるので、ファイントラックのスキンメッシュやミレーのドライナミックは避難アイテムのなかでも特に重要だと思います。(普段ならいざ知らずエアリズムやヒートテックはこの場合はオススメしません)
Tシャツ以外のウェアは以下の感じ。しばらくは風呂・洗濯ができない前提をしました。
finetrackはレイヤリングという機能の連続するウェアを重ね着するスタイルを提唱しているのですが、気象条件が劇的に変わる今回の様な災害時でも、合理的に快適に過ごすことができるなと着地しました。実際に今回も到着時はニュウモラップ(フロウラップの前身)、到着後はTシャツ、就寝時はドラウトポリゴンを羽織るといった体温調整をしたおかげで暑い・寒いという悩みとは無縁でした。何より軽くて畳めばかさばらなくて乾きやすいというのはスペースが限られる避難所では重要な性能です。(4年ほど経って紹介したウェアを一部変更しました)
レインウェア
強風下では傘は役に立たないどころか凶器なので着るもので対処できるようにします。だぶつくとそれだけ風の影響を受けるので中に着込める程度の余裕を持ってタイトなサイズが望ましいと思います。
靴
足下はそのままゴアテックス採用の登山靴です。単純に雨の中を歩きますし、場合に寄っては明日は不整地になっているかもしれません。脱ぎ履きの不便さよりも確実性をとりました。
タオル
説明は不要ですね。タオルは数枚持っておくとコンプレッションバッグに詰めてまくら代わりにもできますし何かと助かります。
ライト・バッテリー類
なるべく手が空けられるもの。ヘッドライトはそのままですが、LUMECUBE AIRはコンパクトな生活照明として使えるので持っていきました。避難所では停電が起こらなかったので出番はありませんでしたがモンベルのクラッシャブルランタンシェードと組み合わせると吊したりもできますし、ストロボ発光(点滅)で遭難時にも助かるかと思います。なにより防水なので安心感がある。
その他、充電用品はおなじみANKERです。
※この項目については2019年から2023年の間にディスコンになったアイテムも多いので大幅に変更しました。
クラッシャブルランタンシェードについては牛乳を数滴混ぜた水を入れたペットボトルをライトに被せることで代用できますが、ひっくり返っても外れないので煩わしさから解放されることや、収納時にかさばらない点が重要です。
LEDライトについてここ数年で飛躍的に進歩しました。自分が使いやすいモノを選ぶのがポイントですが、災害時であるという前提を考慮すると防水性や手が空けられるというのは重要な機能ですので、充電式のヘッドランプなども有力な候補になります。
応急用品
ファーストエイド、ホイッスル、マルチツール、熊鈴、クライミングスリング数本、カラビナ数個(エスビナ)数個とトレッキングポール。使わないに越したことのない、でも困ったときにあった方がいいなというアイテムをポーチなどに分類しておきました。トレッキングポールは骨折した場合や足下が水没していて視程がないとかそんな時のために。