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澄みわたる空と新雪の入笠山スノーハイク
雪が少ない2024年の冬。1月半ばにしてようやく寒気が入り込み雪化粧した南アルプスの北端、入笠山を妻と友人の @404_Empty とともにスノーハイクしてきた。
当初の予定では富士見パノラマスキー場のゴンドラを使わず、沢入登山口から歩いて入笠湿原や山頂を目指すつもりだったが、道路の凍結が想定より厳しく、直前でUターンしてスキー場へ向かうことにした。
というのも、高速を降りてから登山口へ向かう途中、下り坂がつるっつるに凍結していて(かなり慎重な減速をしていたものの)止まりきれず、その先の交差点まで滑り込んでしまったというアクシデントがあったから。その交差点にはすでに事故を起こして停まっている車が2台あり、そこに突っ込みあわや玉突きの多重事故となるところでギリギリ停止。この経験から沢入登山口までの上りはスタッドレスタイヤのみでは無理だと判断した。
ともあれ無事にスキー場までたどりつき、パウダースノーに覆われた快晴の入笠山を楽しむことができたわけだが、チェーンも車に積んでおいた方がいいと感じた一幕だった。
南アルプスの北の端、花の山
入笠山は南アルプス(赤石山脈)の北端にあり、夏場は山腹に点在する湿原をはじめとしてさまざまな花が咲き乱れる山としても人気のある山だ。富士見パノラマスキー場のゴンドラを使うと約1,780mまで一気に標高が稼げ、山頂まではわずか200mを登るだけという手軽さがある。それで物足りなければ大阿原湿原まで足を伸ばしてもいいし、沢入登山口からゴンドラを使わず登ってもいい。短いコースながらヒュッテ入笠(マナスル山荘)や山彦荘といった山小屋もあり、山旅っぽい雰囲気も味わえるのが魅力だ。
ゴンドラ山頂駅から最初の見所となる入笠湿原までは緩やかな下りだ。夏であればすり鉢状の湿原は花で覆われているが、前日に降った雪でまっしろな雪原となっていた。シラビソの森の中にぽっかり空いたまっしろな空間に不思議な感覚を受けながら、木道を辿って畔にある山小屋「山彦荘」に向かう。
風情のある小屋の前は開けていて冬季でも使える公衆トイレもある。スタートから大して歩いているわけでもなく、ほとんど下りだったのでひとくちお茶を含んで先へ進む。
風にたなびくサルオガセ
山彦荘から次のランドマークになるヒュッテ入笠までの間(というか山頂までほとんど)はシラビソの森の畔を歩く。クリンソウが咲いていた道も今はすっかり雪の下で、サルオガセ(木からぶら下がって育つ地衣類)だけがシラビソの枝から垂れ下がり、しずかに風にたなびいていた。聞こえてくるものといえば、遠くで響くキツツキのドラミング(音からするとアオゲラ)と頭上を跳ねるコガラのさえずりぐらいだ。
山頂へ
ヒュッテ入笠を過ぎたあたりから足下にクマザサが表れる。パウダースノーがサラサラと樹上から舞ってきたり、足下からふわっと舞い上がるのが木々の間から射し込む陽に煌めくのは眺めているだけで楽しくなってくる。
しばらく登り、展望が開けたと思えばもう山頂だ。目の前に聳える八ヶ岳をはじめ、時計回りに富士山、南アルプス、中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳から北アルプスまでぐるりと銀嶺を見渡せる。
風もなく、気温は低いものの日差しも暖かいけれど、せっかくなので戻ってヒュッテ入笠か山彦荘で昼食をとることにした。
沁みる山彦荘の山菜そば
混み合うヒュッテ入笠を横目に湿原そばの山彦荘まで戻ってきた。
食堂の中には外観から受けるイメージそのままなだるまストーブや絵が飾られている。この日は人当たりのよさそうな店主がひとりで切り盛りしているらしく、客は少ないながら忙しそうだった。幸い、こちらも時間に余裕はあるので急かさずゆっくりと暖かいそばが出てくるのを待つ。
30分ほど待って差し出された山菜そば。見た目からの意外性はまったくないしむしろ期待通りなのだが、ひとくち啜ってみると嬉しい驚きがあった。すこし太めのそばが絶妙な歯ごたえがあって旨いのだ。ふわっとしているのに程よくコシがあってじわっと旨さが沁みる。寒い冬の山でこんなそばが食える幸せよ……(しかも一杯800円だ)
沁みるそばとストーブで暖まったら、日が落ちて道が凍る前に下山(といってもここからゴンドラの山頂駅までは登るのだが)するだけだ。
動画「入笠山 快晴スノーハイク」
この日のスノーハイクの様子を約4分の動画にまとめたのでぜひご覧いただきたい。自画自賛だが「入り」がいいのだ。「入り」を気に入ってもらえたら「いいね!」とチャンネル登録してもらえると嬉しい。
ちなみに今回から音声の収録はSennheiserのMKE200というオンカメラマイクを使うことにした。上を見ればキリがないが、軽量コンパクトで電源も不要(そのかわりカメラのバッテリーの減りは少し早くなる)で、森の中の音をクリアに拾ってくれる。山で動画を撮るのに扱いやすいマイクだと感じている。