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10万円で選ぶフルサイズ一眼
ちょっとTwitterで見かけて気になったので、予算10万円で買えそうなフルサイズ一眼(レフ・ミラーレス含む)を調べてみました。予算的に新品は相当なミラクルがないと厳しいのでマップカメラの中古価格を参考にピックアップします。なお、レンズについても個々人のスタイルによって必要なものは変わるので今回の予算には含めていません。
中古品についての内容になるので、基本的にハズレもあって当たり前、細かいことが気になるならば迷わず新品買いましょうというスタンスで書いています。
該当する機種
かなり古いものも含めれば結構な機種数があるのですが、2018年時点でも十分な画質をえられるセンサー・画像エンジンを搭載した機種として現実的なものをリストアップしてみました。ザッと見たところハイアマチュア向けモデルなら2世代、中級機ならば1世代前がこの価格ゾーンに入ってきているようです。
メーカー | 機種 | 画素数 | 発売日 | 価格相場 |
---|---|---|---|---|
Canon | EOS 5D Mark II | 約21MP | 2008年11月29日 | ¥75,000前後 | EOS 6D | 約20MP | 2012年11月30日 | ¥90,000前後 |
Nikon | D800 | 約36MP | 2012年3月22日 | ¥85,000前後 |
D800E | 約36MP | 2012年3月22日 | ¥95,000前後 | |
D610 | 約24MP | 2013年10月19日 | ¥90,000前後 | |
Sony | α7II | 約24MP | 2014年12月5日 | ¥95,000前後 |
上の表では分かりやすいところで画素数と価格を拾ってみましたが、全体的に古めのモデルとなっているのでWiFi対応は6Dとα7IIの2機種のみ。撮ってすぐにSNSヘアップしたいというニーズがあるなら、この時点でそのどちらかしか選択肢になりません。
また、背面液晶もα7IIのみチルト機構ありで、その他の機種は全て固定式。以前は堅牢性に不安が出るからフルサイズは固定式!みたいな意見も見かけたりしましたが、今となっては固定式というだけで古さを感じさせる要素になっていたりして不思議な感じですし、実際のところ不便なことは否めません。
視点を変えて比べてみる
今(2018年基準)で見るとつい最近まで現役世代だったα7IIがよく見えてしまうのは仕方ありません。しかし、「撮影する」というカメラのベースになる部分で比較すると違った評価が見えてきます。表の項目を変えて比べてみましょう。
メーカー | 機種 | 重量 | シャッター耐久 | シャッタースピード |
---|---|---|---|---|
Canon | EOS 5D Mark II | 810g | 15万回 | 1/8000~30秒 | EOS 6D | 680g | 10万回 | 1/4000~30秒 |
Nikon | D800 | 900g | 20万回 | 1/8000~30秒 |
D800E | 900g | 20万回 | 1/8000~30秒 | |
D610 | 760g | 15万回 | 1/4000~30秒 | |
Sony | α7II | 556g | 10万回 | 1/8000~30秒 |
評価軸を堅牢性・耐久性に変えてみたのですが、ボディ重量と耐久性が行儀良く比例していますね。乱暴な言い方をすると重いカメラは丈夫ということですが実際に手に持って構えてみると、グリップの安定感、シャッターのキレ、タイミングの取りやすさといった部分でハッキリとフィーリングに差が出ます。
私自身、この表に含まれていないD750(D610と近いクラス)、α7II、D800Eと使ってきましたが、ボディ剛性・シャッターのキレなどの要素は α7II < D750 < D800E とそのまま重量増に比例して良くなります。また、α7IIはボディをコンパクトに作ることにこだわった影響からかグリップの縦が短く、小指余りを解消するためにグリップを拡張するためのプレートを装着するユーザーも多く、プレートを含めると軽量のアドバンテージは小さくバッテリー容量も心許ないといった懸念も出てきます。(低温時の撮影ではバッテリーが3本あっても不安なこともありました)
ニコンのシャッター耐久回数が一段高い設定になっていますが、クラス分けとしては EOS 6D / D610 / α7II が中級機クラス、 EOS 5D Mark II / D800・800E がハイアマクラスとなるので、フィーリングや堅牢性もそれぞれが概ねクラス内で同等と考えると選びやすくなるかと思います。
クラスが高ければ良いというものでもない
先ほど EOS 6D / D610 / α7II が中級機クラス、 EOS 5D Mark II / D800・800E がハイアマクラスと分類しました。一見すると中古相場で両者にあまり差がないのでハイアマクラスのボディがコスパがいいように見えますが、わりと大きな落とし穴になりかねないので落ち着いて考えてみてください。
α7IIを除いて概ね同じ世代のデジタル一眼なので画像として出力される写真の質にはさほどの差はありません。分かりやすく差がつくのはAFだったりファインダーだったりなのですが、重さや付随するアクセサリーにも目を向ける必要があります。
EOS 5D Mark II / D800・800E はボディの作りも堅牢、ファインダーもクオリティの高いものが奢られています。その代わりにボディは重くなりアクセサリー類も意外と高く付くといったケースもあります。
それから…
これは心理的なものですが、ボディに見合うレンズをといった気持ちも湧いてきてしまうのが人情。いくらボディが安くあがるといっても、自分が必要なレンズの計画も並行して考えておかなければ、しんどいやりくりになってしまい写真を撮ることが楽しめなくなってしまうという本末転倒な事態になってしまいます。
具体的にはF2.8通しのいわゆる大三元ズームレンズをきっぱり必要ないと言えるかということです。もちろんその明るさが必要ならば買うべきレンズですが、日中にしか撮らない、しかもだいたい絞り込むならば画角の選択肢が広いF4ズームを選ぶべきかもしれません。そしてそれらのレンズ(F2.8ズーム)は概して重いということです。元々重いボディにさらに重いレンズを組み合わさると機動性は確実に減退します。
例えば街を中心にスナップしたいということであれば堅牢性を犠牲にしても軽さを取るべきかも知れません。また登山などで過酷な環境ならば重さは我慢してでも壊れない堅牢性が必要になることもあります(軽いに越したことはありませんが…)。
私の選択(個人的な一例)
カメラ選びの参考になるか分かりませんが、一例として私がD800Eを選択したときのことを書き出してみます。
まずD750とα7IIを使っていた経験があったことから、ハイアマクラスのボディを選ぼうということは最初に決まっていました。その時の付帯条件としてFマウントであることがあったので必然的にキヤノンのカメラは外れます。
次にニコンのハイアマクラスには当時D800/D800E、D810、D850という3世代が存在していました。D850はリリースされたばかりで品薄、D810が最有力でしたが、WiFiの有無についてはニコンのリモートアプリがアレなので無視しても良いと考えていたのでRAW撮影中心の私はD800/D800Eでも不自由しなさそう。それならば価格差をレンズ資金に充てようという判断でD800Eを選択しています。
続けてはレンズ構成です。10万以下でという面ではここからは完全にオーバーですが、10万の条件はボディのみでということでなるべくレンズは価格抑えながらベストバランスを探るといった温度感で見ていただけると助かります。
標準ズーム
これは完全に画角を優先してSIGMAの24-105mm F4 ARTを選びました。F4ズームとしては重い部類ですが明るさを犠牲にしてでも画質と画角が欲しかったのです。この時点でボディと合わせて約2kgです。下手すりゃミラーレス機2台分ということをよく覚えておきましょう。ちなみにこのレンズ、フィルター径もかなりの大径でC-PLフィルターもAmazonのセールなどでは除外されてしまうことの多い82mmということでお財布にやさしくありません。
広角ズーム
広角ズームは紆余曲折がありAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED。ここはAI AF-S Zoom-Nikkor 17-35mm f/2.8D IF-EDとMakro-Planar T* 2/100と引換えるという痛みを伴った実質無料です。これで約970g、ここまでで約3kgです。
望遠ズーム
望遠は以前オリンパスのOM-D E-M1 MarkIIを使っていた時に不足を感じていた300mm以遠の領域を重視してSIGMAの150-600mm F5-6.3 Contemporaryを選択しました。こちらが1,930g、合計5kgです。米袋と同じぐらい。
マクロその他
あとはマクロレンズでAF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED。750gです。もう合計するのが嫌になってくるぐらいにいちいち重いです。ついでなのでNOKTON 58mm F1.4も合計しておきましょう。これが380gぐらいなので全部で約6kgになりました。三脚や一脚も入れると8kgをオーバーします。ストロボや各種フィルター・スタンドも合わせると10kgは超えてしまう。
実際全てを持って出ると言うことはまれですが、それでもベースは5kg前後となるのでフルサイズ機の購入を検討しているという方は一度システム全体の重量も確認してみることをおすすめします。
レンズも含めて初めてのフルサイズなら
私の個人的な条件での選択を語ってみましたが、これまで特定のレンズシステム(マウント)に縛られていない、フルサイズのシステムは新規に組むという前提なら何を選ぶかというところを語ってみます。
結論から言うとEOS 5D Mark IIを選びます。
EOS 5D Mark II は発売こそ10年前と古い機種ながら今でも十分に現役で使えるスペックと画質を持っていますし、いまだプロからの評価が高いことから堅牢性の心配も少ないのも魅力です。
そしてEOS Rの存在です。ニコンも同様に新規マウントでのフルサイズミラーレスを発表しましたが、既存マウントとの互換性を保つアダプターのバリエーションから見てとれるシステムの将来性からRFマウントにシステムとしての魅力を感じられるから。
5D Mark II での撮影に物足りなくなってきた、より先進的なシステムに切り替えたいと言ったときにそれまで使ってきたEFマウント用レンズに+αの機能を付加して新システムのレンズとして使えるのは「キヤノン分かってる!」と言わざるを得ません。そして全体的にニコンより軽め(結構だいじ)。
中古選びで重要視しているポイント
ちなみに私が中古のボディを購入する場合に気にしているひとつのポイントがそこそこ古い機種ということがあります。発売から数年経ち、評価も枯れきって落ち着いていて現行機との画質の差はさほどないというのは、メカの疲労度だけを気にすれば良いと考えられるから。相場もこなれているので故障からの買い直しでもダメージが少ないですし気兼ねなく使い倒せるのもポイントです。特にアウトドアで使うことが多いという方は参考にしてみてください。
あまり気にしても仕方ないという心構えもだいじ
ハイアマ向けモデルはプロが使うことも多くシャッター使用回数がかなり進んでいる可能性が高い、という意見もよく聞きます。たしかにそうだなと思う一方で個人的に盆栽系と呼んでいる個体もあったります。盆栽系とは新しもの好きで新製品が出たら買うものの実際の撮影にはあまり持ち出さない「機材を愛でる趣味の人」という意味です。私のD800Eはまさにこれに当たったと思われるほぼ新品状態でした。
また、中級機(便宜上こう呼びますが実態はフルサイズ入門機)はカメラの扱いに長けていないエントリーユーザーが扱っていることも多く、これはこれでリスクを読めないカテゴリー。
実店舗でシャッター回数を確認できれば間違いないですが、ネットで売買する場合はぶっちゃけ博打です。お店を信用して売買する。細かいことは気にしないという気構えもだいじです。